• 空調ゾーニングによるエネルギー削減

     

     

     

     

     

     

     

    あいち健康クリニック

    空調室を弱空調室で囲むことによる空調負荷の削減」を試みた、地⽅都市の中⼼部に建つ3層1780㎡ のクリニック併設健診センター

     

     

     


    健診空間のプラン
    ⼀般的に当該⽤途のプランニングでは「待合ロビー」を「健診諸室」で取り囲むゾーニングタイプが多く、その
    ため空調室である健診諸室の多くが熱負荷の⾼い外壁(外⽪)側に配置されてしまいます。
    よって当計画では、弱空調室(補助的な空調機器のみを設えた室)として設計可能な「待合ロビー」の位置を反転させてループ状の「回遊ロビー」とし、健診諸室等の空調室が外⽪から受ける影響を最⼩化するプランニングを⾏いました。
     

    同様に、健診諸室もループ状に配置し、その中⼼を「スタッフゾーン」とすることで、プラン中央の空調稼働時
    間が最も⻑いゾーンを稼働時間の短いゾーンで包み込むという「空調ゾーニング」が成⽴しています。


    さらにここではスタッフゾーンと健診諸室を直結させて動線を最短化することで、スタッフの負担が軽減され、健診効率が⼤幅に向上したこともエネルギー消費量の削減につながっています。(図1)

    (図1)空調室を弱空調室で囲むゾーニング

    (図1)空調室を弱空調室で囲むゾーニング

     

     

     

     

    空調ゾーニングとシンクロした建築計画
    空調計画は、外調機からの新鮮空気を中央のコア(スタッフゾーン)に送り込み、当該ゾーンをオープンダクトとして各健診諸室へ外気を導入し、健診諸室では最小限の個別空調を行うように計画しました。

    排気は床下を経由して外周の回遊ロビーの床下へ放出し、熱放射の後排気させることで余熱による補助暖(冷)房を行っています。(図2)

    (図2)外調機からコアへOA 導入

    (図2)外調機からコアへ外気導入

     

     

     

     

    回遊ロビー(健診ループ)

    これまでは待機空間であった「待合」を、空調ゾーニングによってループ状の「自由な回遊空間」へと再解釈します。これにより、受診者は外光に満ちた空間でハンドブックを読みながら、GPS によって健診室へと誘導され、自然にそれぞれのメニューをこなすことができます。
    ここでは、空調負荷削減から導かれたゾーニングによって、建物の一次消費エネルギーを抑えながらスタッフ動線の最短化を行うと共に、新しい医療空間を生み出しています。(写真1~4)

     

    (写真1)外調機からスタッフルームへの OA 導入

    (写真1)外調機からスタッフルームへの 外気導入

     

     

    (写真2)コア(操作室・バックヤード) 廊下 ループ(回遊ロビー)

    (写真2)コア(操作室・バックヤード) 廊下 ループ(回遊ロビー)

     

     

     

    (写真3)ループ(回遊ロビー)

    (写真3)ループ(回遊ロビー)

     

     

     

    (写真4)北面全景より健診センター(回遊ロビー)を見る

    (写真4)北面全景より健診センター(回遊ロビー)を見る